「米国市場の暴落の予兆」と言われるヒンデンブルグオーメン。
「1987年以来、約25%の確率で当たっている」 と言われていますが、最近ではどのくらい的中しているのでしょうか。
データの残っていた2018年~2021年の4年間を振り返ってみました。
ヒンデンブルグオーメンが点灯するとどうなる?
条件1:ニューヨーク証券取引所(NYSE)での高値更新銘柄と安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上
条件2:NYSE総合指数の値が50営業日前を上回っている条件3:短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナス
引用: ヒンデンブルオーメンの点灯メカニズム(2019年5月版)
条件4:高値更新銘柄数が安値更新銘柄数の2倍を超えない
- 下落率は点灯から30営業日以内の高値から安値で計算
- 最初の点灯から30営業日以内に消灯しまた点灯した場合は、点灯回数1回とする
この条件で、ヒンデンブルグオーメンが過去どのくらい当たっていたのか見ていこうと思います。
2018年
上段がNYダウ、下段が日経平均株価です。
ピンクの垂直線がヒンデンブルグオーメン点灯日、ピンクの背景が点灯から30営業日(下落警戒期間)。
点灯日 | 米国の下落率 | 日本の下落率 |
2018/01/30 | -11.37% | -13.72% |
2018/04/24 | 5%以上の下落なし | 5%以上の下落なし |
2018/06/18 | 5%以上の下落なし | -5.89% |
2018/07/18 | 期間内に再点灯 | 期間内に再点灯 |
2018/07/26 | 期間内に再点灯 | 期間内に再点灯 |
2018/08/02 | 期間内に再点灯 | 期間内に再点灯 |
2018/08/09 | 期間内に再点灯 | 期間内に再点灯 |
2018/09/05 | 期間内に再点灯 | 期間内に再点灯 |
2018/09/25 | -10.50% | -14.22% |
6/18はアメリカは約4%の下落なので、ヒンデンブルグオーメンの点灯は外れたことになります。
7/18~9/25の約2ヶ月は予兆期間の30以内に消灯と点灯を繰り返したので、これはまとめて1回とカウントします。
2018年は4回点灯し、そのうち予兆期間内に-5%以上下落した回数は米国が2回、日本が3回でした。
2019年
同じように2019年も見ていきます。
点灯日 | 米国の下落率 | 日本の下落率 |
2019/05/10 | -5.15% | -6.00% |
2019/07/23 | 期間内に再点灯 | 期間内に再点灯 |
2019/08/02 | -7.41%、-5.72% | -7.85% |
2019/11/14 | 5%以上の下落なし | 5%以上の下落なし |
2019年は3回点灯し、そのうち2回5%以上の下落がありました。
2020年
この年の1月上旬頃から「新型コロナウイルス」というニュースが出てきました。
まだこの頃は日本からすると他国の出来事でしたが・・・
点灯日 | 米国の下落率 | 日本の下落率 |
2020/01/28 | -38.40% | -31.83% |
2020年は1度だけ点灯。
そして、そのあとコロナショックと呼ばれる大暴落が来ました。
未知のウイルスということで、市場は不確実性を嫌うのもの。。ショック級の下げになりました。
2021年
2021年、日経平均株価はついに3万円へ。
点灯日 | 米国の下落率 | 日本の下落率 |
2021/03/03 | 期間内に再点灯 | -6.91% |
2021/03/24 | 期間内に再点灯 | -5.92%、-7.75% |
2021/05/12 | 5%以上の下落なし | -7.3% |
2021/07/28 | 期間内に再点灯 | 期間内に再点灯 |
2021/08/18 | -5.65% | -11.37% |
2021/09/29 | 5%以上の下落なし | 5%以上の下落なし |
2021/11/18 | -7.00% | -7.44% |
2021/12/13 | 期間内に再点灯 | 期間内に再点灯 |
2021年は4回点灯したうち、2回5%以上の下落がありました。
日本は営業日の違いで3回点灯、3回5%以上の下落がありました。
ヒンデンブルグオーメンが点灯してない期間の5%以上の下落
逆に、ヒンデンブルグオーメンが点灯していない日(点灯から30営業日)以外に5%以上の下落をした日を調べてみました。
2018年
ピンクの垂直線がヒンデンブルグオーメン点灯日、ピンクの背景が点灯から30営業日(下落警戒期間)。
下落日 | 米国 | 日本 |
2018年3月 | – | -6.99% |
2018年11月 | -7.65% | -5.93% |
2018年12月 | -16.43% | -16.52% |
2018年12月には「クリスマスショック」と呼ばれる暴落がありましたが、この暴落の前にはヒンデンブルグオーメンは点灯しなかったようです。
2019年
2019年はヒンデンブルグオーメンが点灯した日以外で5%以上下落した日はありませんでした。
2020年
コロナショックが底打ちしたのは3月でした。
下落日 | 米国 | 日本 |
2020年3月 | -8.23% | -9.72% |
2020年4月 | -5.45%、-5.67% | -5.34% |
2020年5月 | -6.47% | – |
2020年6月 | -9.92% | -7.11% |
2020年9月 | -9.12% | – |
2020年10月 | -9.72% | – |
この年はアメリカが7回、日本は3回、5%以上の下落がありました。
両国とも金融緩和でお金がジャブジャブと溢れ、ボラが激しくなっているのがわかります。
2021年
この年の3月に日銀はETFの購入を縮小しました。
下落日 | 米国 | 日本 |
2021年2月 | – | -5.69% |
2021年6月 | – | -6.32% |
アメリカは0回、日本は2回。
的中率は?
ヒンデンブルグオーメン点灯時の下落的中率
「1987年以来、約25%の確率で当たっている」と言われていますが、ここ数年だけ見ると半分以上は当たっています。
米国(下落回数/点灯回数) | 日本(下落回数/点灯回数) | |
2018年 | 2/4(50%) | 3/4(75%) |
2019年 | 2/3(66.7%) | 2/3(66.7%) |
2020年 | 1/1(100%) | 1/1(100%) |
2021年 | 2/4(50%) | 3/3(100%) |
4年間の的中率 | 7/12(58.3%) | 9/11(81.8%) |
アメリカの下落を予兆するテクニカル指標ですが、この4年間では日本市場の下落のほうが確率がいいですね。
5%以上の下落の前に何%の確率で点灯したか
その年に5%以上の下落が何回あり、下落の前に何回点灯したかを見てみます。
米国(点灯後下落/下落回数) | 日本(点灯後下落/下落回数) | |
2018年 | 2/4(50%) | 3/6(50%) |
2019年 | 2/2(100%) | 2/2(100%) |
2020年 | 1/8(12.5%) | 1/4(25%) |
2021年 | 2/2(100%) | 3/5(60%) |
4年間の的中率 | 7/16(43.7%) | 9/17(52.9%) |
コロナショックの起こった2020年を除けば5%以上の下落の前に50%以上の確率でヒンデンブルグオーメンが点灯しています。
まとめ
1度点灯すると1ヶ月は下落を警戒しなくてはならず、これだけを信じているとトレードできない期間が数ヶ月になっていまうこともあります。
必ず当たるわけではありませんし、ヒンデンブルグオーメンが点灯したら警戒しておこうくらいに思っておくといいかもしれませんね。